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裁判員制度までに音声認識システムによる調書作成は間に合わず!

2008年5月21日,最高裁が今現在の音声認識システムの研究開発状況について明らかにしました。

最高裁と速記官が5年以上前から論争してきたことですが,裁判員制度までに,音声認識システムにより,裁判員が公判調書など,文字で確認できるシステムを作ることは間に合いませんでした。
NECだけで約4億円,IBMから始めた5年間の成果は,映像や音声のインデックス機能に使えるだけ(書記官の支援が必要かも?)というものでした。

(参考)音声認識システムについてのこれまでの流れ
2003年 日本IBMが調書作成支援システム(仮称)を開発,
最高裁が紹介ビデオ作成
その後,なぜか日本IBMが頓挫

2005年 音声認識システムの研究開発業者を選定するための調達支援の業者としてNHKエンジニアリングサービスが選定される

2006年 音声認識システムの研究開発業者にNECが選定される
2007年 NEC契約更新,継続

…………………………………………………
音声認識システムの研究開発について

1 音声認識システムについては平成15年に調査研究に着手し,当初は,逐語調書の作成機能を中心に研究が行われたところであるが,その後裁判員裁判が平成21年年度から導入されることになり,当面,裁判員裁判での利用を念頭に置いて,裁判員裁判の具体的な運用等も視野に入れつつ,研究開発を進めている。

裁判員裁判では連日的に証拠調べが行われ,審理の後その記憶が鮮明なうちに速やかに評議が行われることから,公判調書を用いて証言内容を逐一確認する必要性は低いと考えられる。むしろ,裁判員裁判に求めるられるのは,評議において,一般人である裁判員等が法廷における証言内容を確認する必要が生じた場合に,映像・音声によって迅速に証言内容を確認することのできるツールであると考えられる。

そうした観点から,裁判員裁判の評議における裁判員等の記憶喚起等のために証人尋問等の録画に関する法制度が整備され,各裁判員法廷にこの録画・録音のための設備も整備されることになっているが,開発中の音声認識システムにより得られた文字データをこの映像・音声データとリンクさせ,文字データをいわばインデックスとして利用することによって,証言等の中から評議での確認に必要な部分を検索し,速やかに映像及び音声で再現することを念頭に置いて,映像関連機能として盛り込むことを前提としてシステム構築を行ってきたところである。

このような利用のためには,音声認識ソフトの性能向上が課題であったが,東京,横浜及び大阪の各地裁の法廷で収集した音声データやこれまでに蓄積してきた調書データを利用してして,言語モデル及び音響モデルの強化作業を行ったほか,検察官及び弁護人用のピンマイクの改良を図ったり,音声入力系の各種改良を図ることにより,認識率の向上が図られこのような利用に耐えうるものとなったと考えている。もっとも,コンピューターによる音声認識には自ずから技術的な限界があり,文字データに相応の誤認識部分が生じることは避けられないが文字データを検索のためにインデックスとして利用する上では大きな支障はないと考えている。

2 裁判員裁判の導入を間近に控え,今後は現場の意見を踏まえつつ,法廷環境に適合した最適なシステムとするために平成20年5月下旬ころから,一,二か月程度の間,東京地裁の4法廷(途中から法廷数を縮小予定)に映像・音声及び認識結果を統合するプロトタイプ(試作品)を設備して実際の事件の証言等を認識させるとともに,別紙のとおり,法廷や書記官室において書記官の実際の業務フローを念頭に置いたテスト運用を行ったり,可能であれば模擬裁判の評議等においても試用してもらうことを考えている。この際,裁判官及び書記官については事前にアンケート用紙を配布しておき,意見,要望等を適宜記載して提出してもらうことを予定しており,また検察官及び弁護人については当日アンケート用紙を配布し,その場で又は後日提出もらうことを考えている。なお東京地裁以外の職員にもプロトタイプの概要を伝えるために,各庁に対し,プロトタイプの主要な画面の遷移,音声認識の状況,検索方法等をパソコンで見ることができるようなCD-ROMを配布し,希望する職員に適宜見てもらい,意見,要望等があれば出してもらうことを予定している。

3 音声認識システムの操作画面及び機器構成については次のとおり作業を進めている。

(1)操作画面。
法廷,評議室,書記官室等の各操作場所での操作内容に応じて,裁判官や書記官等の操作のしやすさという観点から検討を進めている。

(2)機器構成については裁判官や書記官の操作のしやすさという観点や,静粛性,省スペース性等の法廷環境との調和という観点から検討を進めている。機器構成の大まかなイメージとしては音声認識用と画像制御用のタワー型パソコン2台とミキサー等の附属機器を1つのラックに収納して書記官卓子の下などに設置し,書記官卓子にはディスプレイ,キーボード及び録画用カメラを設置することを考えている。そのため音声認識システム等のOA機器の操作がしやすいよう,書記官卓子の形状を変更することも検討中である。また法廷内で法廷用IT機器と音声認識システムを操作することともなる書記官の負担を軽減するためにディスプレイとキーボードについては法廷用IT機器を構成するパソコンと共用し,切替機により音声認識用の画面と法廷用IT機器様の画面を切り替えることができるようにしたいと考えている(テスト運用で使用する機器等は調達の試用を念頭に置いたものとする予定であるが,調達手続の実施前であるので,そのとおり確定するものではない。また現行の書記官卓子ではラックに入れた機器類を卓子の下に置くことができないことも想定されるため,書記官卓子の横に置くなど法廷の現状に合った工夫等をすることも必要になる。)

4 また昨年度大阪地裁で収集した音声データを解析したところ,法廷内において関西語が使用されるケースが多くあり,標準語を使用する場合よりも認識率が低下することが判明したことから,より汎用性のあるシステムを構築するために本年度は関西語を対象とした研究開発を進める予定である。そのため,6月初旬ころから9月下旬ころにかけて,大阪地裁において,当初4法廷程度,最大8法廷程度で,更に250時間程度の音声データをの収集を行うことを予定している。

5 今年度はこのような作業を中心としてシステムの精度を高めて行く予定であり,平成20年12月ごろに更に複数の庁の法廷でテスト運用を実施し,最終評価を行う予定である。そして平成20年度中には,全国の裁判員法廷にシステム機器を設置し,システムを操作する職員等を対象に操作説明会を開催したり,業務フローに即したマニュアルを整備するなどして,実際の運用に備えたいと考えている。
………………………………………………

別紙で「プロトタイプテスト運用における職員の作業内容」の説明が付いてます。

そんな中に,次のような作業内容の説明もあります。

(4)メモの入力
作業主体:書記官
作業内容:必要に応じて評議等での検索に役立つような事項(証拠の提示,異議,手記命令等の証拠調べでの節目となるような手続に関する事項であり,ファンクションキーで入力できる。),書記官の備忘的事項等を入力する。

*必須の作業ではなく運用上は可能な範囲で必要に応じて行ってもらうことを想定している。

………………………………………………

何年も,何億も掛けて,インデックスに,やっと書記官の支援付きで使えるだろうという代物のようです。

最高裁の詭弁と屁理屈に掛かれば,これが立派なシステムで通用するのでしょうか。

早くもこんな記事も出ているようです。

裁判員制度:証言瞬時に文字化…最高裁が音声認識システム
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080529k0000m040115000c.html

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コメント

>実用段階では8割の認識率を目指すが、そのレベルに近づきつつあるという。
これでは認識率の数字を出せないのは無理もないと思ったけれど、なぜ職場には示さないでマスコミには示すのだろうか。

山師豆組さん,コメントありがとうございます。
本当に,認識率を最高裁はずっと言わなかったのに,マスコミにだけ言うのはおかしいですね。

私も,最高裁と交渉の機会があるたびに,しつこく聞いていましたが,全然答えてくれませんでした。

企業と契約するには,現在何%で,目標何%などの数値を示して契約するのじゃないかとか,
法廷でデータを収集したが,その前とデータを利用して改良した後では,何%上がったのかとか,IBM時代から聞いていました。

組合に対しては,今回は次のように言ってますね。
(組合)現在の認識率はどの程度なのか。

(当局)裁判員裁判での利用を念頭に置いて,実用化に向けた研究開発を今まさに進めているところであり,また,自由発話における認識率は発話環境等によって異なることから,現段階で何%という一定の確定した数値を示すことはできないが,利用を念頭に置いている裁判員裁判のいずれの事件においてもできるだけ高い認識率を確保できるよう,研究開発を進めていきたいと考えている。

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