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2008年6月

中日新聞:裁判員制 障害者に意欲、不安 手話通訳不足など深刻:社会(CHUNICHI Web)

リンク: 中日新聞:裁判員制 障害者に意欲、不安 手話通訳不足など深刻:社会(CHUNICHI Web).

記事の最初にこのようなことが書かれています。

 来年5月に始まる裁判員制度。素人の裁判員でも理解できるよう「目で見て耳で聞いて分かる裁判」を目指す方針に、視聴覚障害者たちが「参加できるのか」と不安の声を上げている。障害者団体は「参加しても、理解を助ける仕組みがないと責任を持った判断ができない」と、支援体制の充実を求めている。

「目で見て耳で聞いて分かる裁判」は、確かに視聴覚障害者にはハードルを一層高くするものかもしれません。

現在まだ書画カメラや大画面のモニターが設置されていない民事の法廷では、図面や写真について質問するときは、弁護士が証人の指したところや動作の説明を、すべて言葉に置き換えて質問し直しています。

書画カメラや大画面のモニターが設置された刑事の裁判員法廷では、図面や写真を使う機会が多くなったように思います。また、図面を指し示したところや、動かす動作などが、法廷にいる皆に見えるようになったため、指示代名詞やその位置をわざわざ説明し直すことは少なくなりました。

速記官は、後で文字の記録にすると、「ここからここまで」などだけではさっぱり意味の分からない速記録になるし、幸い速記官にも大画面のモニターで見えるようになったので、「左のドアから真ん中の机まで」などと情景描写をできるだけ同時に打つようにしています。

その情景描写をすることが増えた分が、視覚障害者の方にはハードルが上がった分だろうと思います。

皆でなるべく視覚情報は言葉で説明することを気を付けることや、速記官が視覚情報も文字化して、それを点字にするソフトを作るとか、読み上げソフトを活用できないかなど、ハードルを下げる工夫が必要だろうと思います。

また、法廷だけでなく、速記官を手続や評議にまで障害者に文字通訳のために張り付かせることがされてもよいのではと思います。

新聞記事の最後のほうにこんなことも書かれています。

特に深刻なのが、手話通訳者不足だ。愛知県には手話通訳の資格を持つ人が200人近くいるが、園田さんは「手話通訳だけでは生計を立てられないので専門家が育っていない。裁判を手話通訳できるのは1割いるかどうか」と話す。都市部以外では、不足がさらに顕著という。

手話通訳者でこんなに困っているとは、思いもよりませんでした。要約筆記者不足は、ボランティアの折によく耳にしていたのですが。

中途失聴の手話のできない方には、文字通訳者が必要ですが、要約筆記者やパソコン要約筆記者を探すのは至難の業でしょうし、平日は生計を立てている仕事があるのでますます無理でしょう。裁判所速記官を文字通訳に使ってくれればと思います。

 参加への意欲と不安の間で複雑な思いを抱く障害者たち。全日本ろうあ連盟の安藤豊喜理事長は「弁護士が容疑者の権利を守るため、聴覚障害者を不選任とするかもしれない。2つの人権があり難しい問題だ」と話す。

 2つの人権を守るために、最高裁がよい決断をしてくれることを願っています。

裁判員制 「どの証言信用できる」 : 香川 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

リンク: 裁判員制 「どの証言信用できる」 : 香川 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

 来年5月21日に導入される裁判員制度に備え、地裁で17、18両日、審理期間を大幅に短縮する連続開廷方式の模擬裁判が行われた。捜査段階で作成された供述調書を採用しない裁判を初めて設定し、裁判員の6人は法廷でのやりとりだけを基に審理を進めた。

(中略)

 高松市高松町の会社員松林哲哉さん(33)は「取り調べの段階で被告人が何を話したのかわからないので、法廷でのどの証言が信用できるのか真剣に考えた。本番ではもっと悩むかもしれない」と話していた。

(2008年6月19日 読売新聞)

捜査段階の供述調書がないので、法廷での証言がますます重要になります。

本番の裁判では、裁判員は、どの証言が信用できるのか本当に真剣に悩むことでしょう。

そんなとき、一覧性のある速記録が手元にあれば、簡単に証言を比べることができます。

評議でも、「○○証人は、速記録の尋問番号○番(若しくは○ページ)でこう言っているが、被告人は尋問番号○番でこう言っている。」と、自信を持って発言できるし、とてもスムーズに進められると思います。

最高裁は、「連日的に開廷される裁判員裁判においては、記憶が鮮明なうちに審理が進められ、結審後速やかに評議が行われて判決が宣告されることになることから、当事者や裁判体が、審理や評議の過程において、紙の公判調書を用いて証人等の供述内容を確認する必要性は低いと考えている。また、裁判員に大部の紙の調書を読んでもらうことは、過大な負担を与えるものであり、現実的でない。」と言っています。

こう言っている最高裁の方は、理解力も記憶力もすばらしい方で、紙の調書で確かめる必要性を低いと考えているのかもしれません。

でも、実際は、法律のプロの弁護人にも検察官にも、早く欲しいと本当に必要とされている速記録です。

悩んでいる裁判員には、紙の記録ですぐ何度でも確認できるようにしてあげるのが親切なのではないでしょうか。紙の調書になっているからと言って、全部を読む必要はなく、一度法廷で体験したことなので、必要なところだけを読めばいいのだし、そのときの状況が読めばたちどころに頭の中でよみがえります。

どうせ控訴審のためには紙の記録を作らなければいけないのだし、裁判員に過大な負担を与えるという理由で、評議に間に合うように作成された速記録が、わざわざ裁判員裁判から排除されるということにならなければよいと思います。

裁判所速記官もお忘れなく!

最新号の「司法の窓」が最高裁のサイトに掲載されました。
リンク: 裁判所 | 司法の窓 第72号.

その中に,NHKドラマ 「ジャッジ」で裁判官役の西島秀俊氏を囲む座談会の記事があります。
座談会 実像~俳優として,裁判官として,人間として(713KB)

足立 裁判所も,我々裁判官だけで仕事をしているのではなく,書記官,家裁調査官,事務官などの職員と一緒に,チームで仕事をしています。

関根 裁判官,書記官,家裁調査官,事務官とそれぞれ役割は違いますが,それぞれの職員が目指すところはひとつ,よい裁判をすることだと思います。

座談会の内容より,また速記官の名前がないなと思って読みました。

最高裁が,極力「速記官」の文字が出ないようにしてきた効果が現れているのでしょう。
裁判所の出す裁判員関係の資料に,速記官が載っているのを見たことがありません。
少し以前には,新しく導入されることの最高裁から現場へ下りてくるマニュアルにも速記官の説明がなく,被害者保護のための遮へい措置やビデオリンク導入のときに,どこに位置したり,どう対応してよいか分からず困ったりもしました。

試しに,裁判所のHP(http://www.courts.go.jp/)でサイト内検索をかけてみました。
書記官:421
調査官:295
事務官:119
速記官:  35

やっぱり少ないですが,速記官もよい裁判のお役に立つように頑張っているので,お忘れなくとお願いしたいです。

■法、刑事裁判、言語を考える: ■裁判と「調書」-時代遅れの日本の法廷

リンク: ■法、刑事裁判、言語を考える: ■裁判と「調書」-時代遅れの日本の法廷.

 速記制度を充実させ、しかも、ワープロ情報をそのままデジタル化して、評議室でいつでも裁判員が「キーワード」を打ち込めば該当の箇所を検索できるシステム、録画もして、証人の表情も再生できるシステムを導入しておくべき、という点だ。
 世界に冠たるソニーを擁する我が国の法廷は、ブログ編集者がみたアジア諸国の法廷の中で、もっとも古色蒼然たるものであった。

 最高裁が「IT法廷」と胸を張ってみても,実際は,リアルタイムで文字化も,公判調書もすぐできず,検察官は事務官を記録取りのために連れてきていたり,裁判官もメモ書きに励んでいたりします。

 欧米だけでなく,アジアの中でも遅れている日本の法廷です。

 諸外国のハイテク法廷の機器を納入している企業を見ると,日本の企業も名を連ねています。

 裁判員制度で十分な予算も持ちながら,なぜ最高裁がほかのアジアの国並みの法廷のシステムを作れないのでしょうか。

 頑固で石頭の最高裁が,速記官の養成を停止した失敗と,音声認識システムの失敗を認められないので,どうしようもなくなっているのだと思います。

 古色蒼然とした法廷に,まだ実用には早く,負担を増すだけの音声認識システムが,これから備え付けられて裁判員制度がスタートします。

最高裁長官宛のラブレター

Youkyuusyo 1年に1度,長官あての手紙を,組合の運動に乗じて書く機会があります。
「ステンチュラくださ~い」の熱烈メッセージを,全国の速記官一人一人が書いて送ります。

毎年,もう5年は越して書いて送ってますが,長官は見てくれているのか,いないのか,速記官の窮状はそのままです。

手紙より,直接アタックしたほうがいいんじゃないと思うかもしれませんが,速記官に関する要請行動で最高裁を訪れた鶴見弁護士をはじめとする守る会のメンバーは,冷たい扱いだったようです。
最高裁の庁舎内にさえ入れてもらえず,通用門で秘書課の職員が対応したそうです。

(参照:速記官制度を守る会ブログ) http://www3.sokkikan.coco.jp/article/98132475.html

今回の要請行動では、最高裁の対応の悪さが際立っていました。来訪者名と用件を尋ねられて、通用門でしばらく足止めをされた後、秘書課職員三名が通用門まで来て、要請文等を受け取りましたが、庁舎内への立ち入りはできず、屋外での立ち話に終始しました。

手紙の中身は,今年はこんなことを書きました♪

調書も作成できない音声認識システムに4億円も掛けたのだから,次のささやかな金額ぐらい出してください。
 ステンチュラ・フュージョン 約60万円
 インクリボン,バッテリー,オーバーホール代 数万円
 調書も,リアルタイム字幕も,インデックスにもすぐ使えますよ。

ステンチュラの輸入は1999年からで,もう10年が近づいてます。
速記官が高価なステンチュラを,2台目も自費で買わなければならないという悲惨な事態になりつつありますが,こんな状況を最高裁長官は知っているのでしょうか。もしかしたら,手紙も秘書課職員どまりになっているのかな?

New York City Life : 仲裁の話

ニューヨークに行ってる弁護士さんのブログに,速記の記事を発見

リンク: New York City Life : 仲裁の話.

今回は10人近い証人が1週間弱くらいかけて一気に尋問されました。というわけで案件に関わっている代理人弁護士は、その間、この事件にかかりっきりということになります。日本の民事裁判では集中証拠調べとはいえ、一週間ぶっ続けで開廷して証人尋問を行うということはほとんどないような気がしますね。

今回の手続の仲裁人は3名。先に申立人側の証人が尋問されましたが、主尋問は先に提出済みの陳述書に代えて省略し、尋問は反対尋問、再主尋問、仲裁人の補充尋問、という流れで進んでいました。

ただ、手続の内容は、すべて速記人が速記し、その速記した内容が、双方当事者および仲裁人の手元にあるノートパソコンの画面に即座に映し出されるのです。これには驚いた。尋問中に、その証人が前にした証言内容を確認したいときが間々あるわけですが、こういうのがあると大変便利。また、尋問の際に示す書面は、プロジェクターで大画面にして写し、出席者はみなその内容を確認することができます。これも便利。

日本でも,やれたらいいのにと思います。

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