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裁判員制度:模擬裁判 選任手続きに初の聴覚障害者/京都

リンク: 裁判員制度:模擬裁判 選任手続きに初の聴覚障害者 「通訳確保が課題」指摘 /京都 - 毎日jp(毎日新聞).

(引用) 京都地裁での裁判員制度の第12回模擬裁判が29日、始まった。裁判員候補者を面接し抽選する裁判員選任手続きに、初めて聴覚障害者の男性(59)=西京区=が参加。地裁は手話通訳者をつけたが、男性は「聞き慣れない言葉もあり、半分くらいしか理解できなかった。法律のことを理解した通訳確保も課題」と指摘した。

選任手続で半分くらいしか理解できなかったとなると,不安が高まり辞退ということも多くなるのではないかと感じました。かと言って,手話通訳者に法律の理解まで求めるのは,負担が大き過ぎるのではないかと思います。

裁判所速記官が,日弁連のシンポジウムや大会で字幕付けを行うとき,大抵並行して手話も付いていますが,そこでこんなことがあります。

弁護士さんの集会だけあって,法律はもちろん,幅広い分野の専門用語が飛び交いますが,手話通訳者の方が,分からない言葉を字幕で確認するのです。日本語は,表意文字なので,耳で聞いて分からなくても,文字を見れば何となく理解できます。

障害者だけでなく,手話通訳者のお役にも立っていることが分かり,字幕を出すのにもますます張り合いが出たのでした。

速記官がそこで字幕を付けることができれば,聴覚障害者の理解はどのくらい上がり,手話通訳者の負担はどれぐらい軽減できるだろうと思います。

(引用続き) 最高裁は、聴覚障害のある裁判員には手話や要約筆記を利用してもらう方針。今回は「選任手続きだけを検証の対象にした」(地裁)として、男性は事件概要の説明を受けて質問票に記入し、裁判官との面接まで体験。終了後に記者会見に応じ、「本番で裁判員に選ばれたら、他の人と同様に理解し、公平な裁判ができるか心配。障害に応じた配慮をしてほしい」と要望した。

話すスピードで逐語で通訳できる手話はともかく,要約筆記を利用してもらうという最高裁の方針に疑問です。

要約筆記は,手書き要約筆記では1分間に書ける文字数は約50文字,パソコン要約筆記では120文字と言われています。(機械速記は400文字)

要約筆記者の書く(打つ)スピードに合わせて,ゆっくり質問して,ゆっくり答えることにするのでしょうか。それとも,要約して通訳することを認めるのでしょうか。

要約することは、読みやすさを優先させたいときや、テレビの字幕など限られたスペースに納めて表示しなければならない場合など、そちらのほうが適している場合もありますが、裁判に適しているとは到底思えません。

外国語の法廷通訳人の場合も、翻訳が不正確だったので裁判をやり直してほしいというケースがあるので、言葉を省略することは許されず忠実に翻訳されることが求めらます。

聴覚に障害のある人で,手話が分かる人は2割に過ぎないと聞きます。残りの8割の人のために、早急に要約筆記についての研究や模擬裁判での実験が必要です。

技術的には、速記官が「はやとくん」で文字通訳ができれば,話す速度で逐語で文字化できるので解決ですが,今の制度のままでは選任手続や評議に速記官が立ち会うことは不可能です。

今年3月、最高裁に、速記官の業務として新たに聴覚障害者の情報保障を追加することを提案したところ、手話通訳を予定しているという否定的な回答でした。

(参考)

『法廷通訳ハンドブック実践編』

被告人や証人に対し話されたこと又は被告人や証人が話したことを忠実に通訳してください。

(中略)それぞれの質問のニュアンスなどに十分注意して、できる限り言葉に忠実に通訳してください

「法廷通訳人四訓」の中の第一訓

第一訓は、通訳の誠実性・正確性の保持である。

法廷通訳人は、良心に従って誠実に、発言者の発言のすべてを有りのまま正確に通訳しなければならない。したがって、故意に偽りの通訳をすると処罰されることがある(刑法171 条・虚偽通訳罪)。法廷通訳人は、発言内容の一部を省略することは許されず、発言者の話の構文や言葉遣いを忠実に通訳する必要がある

(別記事)

リンク: 障害者裁判員 課題見えた  : 京都 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

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コメント

 要約筆記のユーザーですが、一口に手書き要約筆記、パソコン要約筆記と言ってもいろいろな流れがあります。とくに手書きの場合、短く要約すべきという人もいるようです。ユーザーのリーダビリティを考えてのものでしょうが、解釈や主観がまじりそうです。手書きでもなるべく多くの情報をという人もおり、パソコンではほとんどがその考えのようです。またパソコンの場合、120字よりもう少し可能な人もいます。パソコンのメリットは、法律用語や関係する固有名詞をあらかじめユーザ辞書に入れておけることでしょう。
 私の簡単な模擬評議を見たり、参加したりの体験では、手書きだと法文などを、せっかく具体例で説明した部分をスキップする傾向がありました。ただ、選任手続きの段階なら、フィードバックも多少ききそうですし、パソコン要約筆記でも可能かなとも思っています。

コメントありがとうございます。

パソコン要約筆記の場合、もう少し調べてみたら、1分間に120~150字、100字~200字のスピードというところもあったので、低すぎたように思います。

また、パソコン要約筆記の場合、複数人で連携して、神業のように入力できる方もいますよね。


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