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全司法の地連速記官担当者会議&最高裁交渉

引き続き,11月16日,17日は,全司法の地連速記官担当者会議と最高裁交渉に参加しました。

会議は,3年ぶりぐらいの参加ですが,以前より楽しく充実していたように思います。
これまでは,速記官の職務内容見直しの議論(待遇改善のために速記以外の職務を受け入れるかどうか)で終始してつまらなかったのですが,それは受け入れても待遇改善は難しいという最高裁の回答で決着がつきました。

各地の情報が次々に報告され,16日の午後半日と懇親会と二次会,翌日の午前中まで,みんなしゃべり倒した感じです。
裁判員制度の模擬裁判に立ち会えたか,録音反訳専門部や支部に立ち会えるようになったか,家裁からの速記要請について立ち会えたか,裁判員法廷のマイクや録音状態の問題,デジタル録音に変わってどうなったか,各地ではやとくんの研修をどうしているか,起訴前の証拠保全のための人証調べにどう対応しているかなど,各地の興味深い話が聞けました。

その勢いで,最高裁交渉も時間をオーバーして各地の熱い訴えが続きました。
これという前進回答もなかったですが,各地でみんな悩みを抱えながらも頑張っている様子に元気をもらって帰ってきました。

◎会議としては,次のようなことが決まりました。

・全司法にも速記官のリーフレットを作ってもらう
・速記官の養成再開署名を司法大運動の署名と一緒に頑張って取る
・はやとくんの研修を官でしてもらう
・録音反訳専門部にも速記官が入れるように,家裁の事件にももっと手続を簡単にして速記要請しやすくする
・裁判員制度の模擬裁判に,速記官も準備のため立ち会わせてもらえるようにする
・職務内容の見直しについては,今後は本来業務で,裁判員裁判で速記官にできることがあれば関与して,それによって評価してもらうようにする
・ステンチュラの官支給の署名を速記官全員から取るようにする
・電子速記研究会と共同して「はやとくん」の開発とサポートを援助していく

◎最高裁交渉では,次のようなことを発言してきました。
まず,速記官の法廷卓子について,ステンチュラ対応の机を作ってくれたことへのお礼を述べ,
「今年4月時点で,95パーセントの速記官がはやとくんを使用し,88パーセントの速記官がステンチュラを使用しています。
最高裁に,この10年以上はやとくんを見てくださいとお願いしていますが,まだ実現していません。官職の9割以上が使っているシステムや機材を見ないというのは,無責任な態度ではないでしょうか。
裁判所の外では,字幕付けのボランティアを通して,弁護士,聴覚障害者の方,市民の方にこの10年近く,多数の方に見てもらっています。日弁連の人権擁護大会,司法シンポジウム,模擬裁判などでは,速記官の実力を存分に発揮して,専門的で早口な内容でもすばらしい字幕を付けています。
またこの1年では,司法記者クラブで実演をしたり,日本情報処理学会,東京速記士会,日本速記協会の講演に呼ばれたり,京都大学の「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウム2008に参加したり,その模様がテレビ放映されて「はやとくん」が紹介されたり,ますます認知度を高めています。
職場では,当日や翌日に速記録やゲラを提出することも多いです。また,はやとくんの精度のほうも,先日,ボランティアの文字通訳をたった1人で30分行いましたが,97~98パーセントの正解率で,台本もない会場発言と講演者の回答を,即座にパソコン画面に文字表示することができるというところまできています。
最高裁も長年の音声認識の研究で分かっているだろうと思います,これは裁判所が何億掛けても,国や企業が何兆円も掛けても,まだ不可能な技術です。国会では,翌日に記録を作成するためのシステムを,今まだ作っている最中です。
まず見て,ちゃんと評価して,よりよい裁判のために,とりわけスピードが求められる連日的法廷や,視聴覚障害者の参加のために,はやとくんを最高裁も見て,活用してください。」と述べました。
まあ,ここまで言っても見るとは決して言ってくれません。

その後,聴覚障害者の裁判員のために職務として情報保障をやりたい,最高裁は速記官のやりがいを保障しているのだから,そのためにもやらせてほしいと要望しましたが,それも手話と要約筆記で対応予定という回答でした。

その回答について,手話は,助詞のないアバウトな言語で,誤解も多いと聞いた。また手話通訳者がどのように伝えたのか,その場では分からないし,どう担保するのか。ビデオにでも撮ることにするのか。要約筆記は,要約筆記者が要約を行って通訳をしてもよいのか,質問しました。

そうすると,驚いたことに,最高裁人事局給与課長の返答は,「細かいことは分からない。」というものでした。

速記官の私が考えても,外国語の通訳者には逐語で通訳することを求めているのだから,要約では問題があることが分かります。給与課長というと,将来は最高裁長官になる可能性もあるポストの方で,裁判官の中でもエリートの方がなられています。
その方から,「分からない」という回答が出たので,唖然としてしまいました。

そして,最後に,これも前進回答がないのは分かっているのですが,こんなことを言ってきました。

まず,音声認識について,第159回国会の法務委員会で,平成16年3月12日に,最高裁が「今、裁判所では、日本IBMと、音声認識技術をベースにこれを調書化する、しかも、その調書の裏には、その発話された音声というものがリンクされている、こういうものを共同開発中であります。現在、これは委員の方にもごらんいただきましたけれども、9割方の正確性であるということであります。」と言っていましたが,IBMは結局どうなったんでしょうか。今,調書も作成できず,録音反訳をなくす話も消え,失敗しましたねと確認しました。

これに対して給与課長は,先ほどの回答のとおりということで,先ほどの回答を確認すると,インデックス利用で十分という回答でした。

ただ,最初に最高裁が目指していたものは,これだったはずで,4億円掛けたシステムに「はやとくん」をつないで,文字を流し込めるようにすれば,9割方正確で,映像や音声にリンクされたシステムがすぐ出来上がると提案してみました。

最高裁がメンツさえ捨ててくれれば,4億円が無駄にならないものすごく良いアイディアだと思うのですが,やはり「うん」とは言ってくれませんでした。

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