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2009年2月

なぜ裁判員法廷にビデオ?

 最高裁は,音声認識システムによる記録作成には失敗したので,ビデオ+音声認識システム(よくて8割にしか達しない認識率なのでインデックスに利用)を裁判員法廷に設置する作業を現在進めています。

 しかし,ビデオ記録は使い勝手が悪く不評なので,米国では速記がまだ大活躍ですし,日本でも控訴審には紙の記録で上がります(高裁裁判官も紙の記録を好んでいるので)。
 
 米国より30年遅れている話で,使い勝手が悪く失敗したのが分かっているビデオを,最高裁がなぜわざわざ裁判員法廷に採用するのか理解に苦しみます。

 米国のように公平に競わせてくれれば、速記官のほうが便利で役立つことが分かってもらえると思うのですが。

 下のは,数年前のリーフレットの記事からです。

機械速記vsビデオ・・・・速記が勝利(米国)

 カリフォルニア州では,1986年に州法を改正し,ビデオによる供述録取に予算措置を講じ、実験を開始しました。ロサンジェルス郡上位裁判所(日本の地家裁に相当)でも4法廷にビデオ装置を設置しました。質問者,証人,裁判官を別カメラで写し,発言ごとに画面を切り替えるものです。書証提示の時刻をインデックスとして付するサービスも操作担当の事務官が行いました。 しかし,コンピューター反訳をする速記官に対抗することができず,1994年1月1日をもって実験を終了しました。(法律名はCalifornia Code of civil procedure)
 ロス郡上位裁判所でも,4法廷のうち3法廷のビデオ装置を撤去し,今は1法廷に残るのみです。機械自体はすぐれていましたが,速記官がそれを上回りました。その後も,速記官による法廷記録は発展を続け,1993年立法により,当事者は,速記官がコンピューター反訳をしている場合は,そのフロッピー(computer readable form)の交付申請ができるとされました。弁護士の利用の便宜と省スペースを考えてのことです。
 シンプソン裁判では,当事者席のモニターにリアルタイムの文字表示をしたことが有名です。コートルーム23などのハイテク法廷でも,速記のリアルタイム・コートリポーティングは活躍しています。

「1.pdf」をダウンロード

「2.pdf」をダウンロード

デポジションと速記

ステノグラファー(速記者)とビデオグラファー(ビデオ撮影者)がデポジションでは併用されているという記事を3つ見つけました。

リンク: コネ通: デポジション・デビュー.

デポの場所となる部屋に入ると、速記タイピストとビデオ撮影担当者が既に到着していた。

リンク: GLOBALLINK 米国ニュービジネス発掘.

 

同社では、カリフォルニア州内であれば、1時間前の通知でも速記者を手配できるという。最近、増えているリアルタイムの速記(コンピューターソフトを用い、クライアントは速記者の記述内容をリアルタイムで受け取ることができる)の手配も可能である。また、必要に応じ、デポジション用の会議室を用意したり、通訳やデポジションのビデオ撮影を行なうビデオグラファーの手配も行なう。証言記述書の提出は、デポジション後10日以内を保証しているが、急ぎの場合は、翌日配達など特急サービスも提供している。

リンク: ジョン・グリシャム著.

デポジション内容の記録の仕方は、原則は「ステノグラフィー」(速記)であるけれども、最近ではビデオによる録画も併用されるのが普通です。この内容は非常に長きに渡るので、依頼人企業のためにその要旨を作ることなども、法律事務所の収入源になる(すなわち、たとえば企業被告の証人が消費者の原告側弁護士に証言録取された、だらだらとした質疑応答の内容を、被告企業側のアソシエイト弁護士が要旨にまとめれば、それに掛かった時間に時間単価を乗じた弁護士報酬を依頼人たる企業被告に請求できる訳です。ちなみにアソシエイト弁護士はこのような下働きで、法律事務所のために稼ぐことを求められるのです)。

asahi.com:(7) 裁判員制度を前に-マイタウン岐阜

リンク: asahi.com:(7) 裁判員制度を前に-マイタウン岐阜.

1か月ちょっと前の古い記事ですが、「メモだけでは不安」という、模擬裁判で裁判員を体験された方の声を御紹介しますね。
「速記録」が手元にあれば、導き出した結論にもっと自信を持てたのではないかと思います。

結論に自信が持てれば、後で思い悩んだりすることもなく、裁判員をやってよかったという達成感も得られやすいのではないかと思います。

裁判員制度を前に-マイタウン岐阜

 犯人の利き足は、事件の核心とは関係ないはずだった。犯人が足のどの部分で被害者を踏んだかも。しかしある裁判員は最後までこだわった。「犯人の利き足と現場に残った足跡は逆」。物的証拠への論点はずれたまま、評決の時間は迫っていた。

 11月、岐阜地裁で開かれた模擬裁判に補充裁判員として参加した。自ら応募して選ばれた裁判員たちの真剣な議論の一部始終を間近で取材して痛感したのは、裁判の迅速化への不安だった。

 扱ったのは架空の傷害致死事件。被害者は何者かに腹を踏まれて死亡しており、着ていたTシャツにはサンダルの左足つま先部分の跡がついていた。跡は被告のサンダルの形に似ている、というのが検察側の主張だった。 弁護人はこう反論した。跡はサンダルと合わせると数ミリずれる。被告のサンダルとは別の形のものかもしれない。

 結論は異なるが、両者とも「どちらの足で何回踏みつけたかは関係ない。偶然残った跡が、被告のサンダルと似ているかどうか」という導き方をしている。裁判官もみな、同じ論理をたどった。

 ところが裁判員は違った。「被告は右利きだが、踏みつけられた被害者のTシャツには左足の跡が残る」「踏みつけるならかかとの跡が残るのでは」「いや、被害者が横を向いて寝ていれば、つま先でけることができる」。半数の裁判員が「Tシャツに残った跡は被告の踏み方と関係する」とこだわり、議論に多くの時間を割いた。

 自分も不安だった。法廷で見聞きした内容は基本的に記憶と手書きのメモにしか残らない。法律の手続きに関することは裁判官が判断するが、「足跡の鑑定」といった証拠の判断は裁判員に任される。

 裁判員は自宅でも昼間の審理を思い出し、悩んでいた。しかし記憶があやふやでも、資料は自宅に持ち帰れず、確認のしようがない。「メモだけでは不安」「専門用語が多い」という声も多く出た。

 評議開始の直前、田辺三保子裁判長はこう話した。「私も日常生活では子どものけんかの仲裁で、両方の意見を聞いてどちらが正しいか判断します。それと一緒ですよ」 もちろん裁判員の緊張をほぐすための言葉だ。しかし、何日も裁判が続く難しい事件で、素人の我々に職業裁判官がしてきた以上の正確な判断ができるだろうか。

 4日間に及ぶ審理と評議を終え、評決の直前、自分のメモを見返して自問した。「果たして思いこみを残すことなく、結論を導けているだろうか」。自信は持てなかった。(大内奏)

ワードワープ - スクール情報

リンク: ワードワープ - スクール情報 - Yahoo!学習.

今年もワードワープ社で、新しい生徒さんを募集中です。

ステノキャプショナー(字幕付け速記者)になりたいという方は要チェックです。

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