« ステンチュラの官支給問題(その2) | トップページ | 「はやとくんフォーラム2010」お疲れさまでした »

日本の速記タイプライタの歴史

速記タイプライタの歴史が載っているページを発見しました。

日本語のローマ字運動と深くかかわって生まれた機械速記は,先人たちの知恵と努力の結晶です。

このページは,不幸な結果の記載で終わっていますが,続きをハッピーな話に変えられる力を今の速記官なら持っています。

石頭の最高裁が,「はやとくん」とステンチュラを正式導入しますと言ってくれさえすればよいのですが。

田中館愛橘・タイプライタ・日本文化   http://www.age.ne.jp/x/nrs/kakimono/yamada/2002.htmより引用 

しかしこの速記術そのものが、今では世間から姿を消しつつある。いまその原因と考えられているものを整理してみると、主なものが二つある他、かなり日本的と思えるものもいくつかあったとされる。

まずその最大のものは、テープレコーダが普及し、その性能が大幅に向上したことによる状況の変化である。録音機は小型化し、安価になり、音質がよくなった上に動作も正確になった。またカセットテープ方式の発明により、テープの取り扱いも楽になった。それは、技能習得が困難でしかも習得に時間のかかる、すなわち莫大なコストを抱え込んでいる速記術の絶対性が失われてしまった結果、裁判のばあいを含め、一般に発話を固定する記録の作成には、もはや速記術に頼ることなく、録音テープの出力から、直接漢字かな混じり文を作ればよくなったことを意味した。

つまり、録音再生によるテープほどき (テープ・リライト、transcription) が速記に対して経済的、技術的に優位なライバルとなった結果、速記タイプを含めて、速記術というものの必要性がかなり弱まってしまい、それが速記タイプライタ制度そのものの維持にブレーキをかけることになったのである。

 さらに間接的には速記タイプライタ制度の普及を抑えることになった、二つ目の理由として、そのまた10年余り後になってからの、ワープロとパソコンの出現があった。1970年代後半に日本文ワープロやワープロソフトが数多く商品化され、それらが一般社会に普及するとともに起こった性能と品質の向上は、ワープロやパソコンを使って、録音から直接に漢字かな混じり文へテープほどきをする作業をかなり容易、かつ安価にし、しかもその速度を倍以上にまで引き上げることを可能にした。それが速記タイプの利点をさらに削り取ることになった。

そのほかに、ソクタイプの普及に歯止めをかけたと言われているのは、速記タイプライタを使う、新しい速記官という身分は比較的簡単に作ることはできても、それに伴って必要となる、速記官自体を組織的に養成する機関の急速な設立が、硬直化した日本社会の制度の中ではなかなか実現できず、速記官の養成がそう思うままにはならなかったことである。その上、以前からある書記官に対する、新しく出来た速記官の地位や待遇の関係といった、因習的、実利的、感情的な問題が起こっていたことなども、速記タイプライタのすみやかな普及にたいして、負の因子として働いたという。

また、タイプ速記は高度の習熟が要る技能作業であり、またそれに使われる速記タイプライタも見かけによらない精密機械なのである。しかし一括購入の審査のときに、価格が技術力に優先されたという当時の入札制度のもとでは、購入された速記タイプライタの品質が不充分で、高度の熟練技能が充分に発揮できないということが、しばしば起こった。その上、速記タイプライタで印字をする、折り畳み式の紙テープは意外に製造がむずかしく、その割りには納入価格が抑えられていたので、満足して使えるテープの供給に困難が付きまとうなどの問題もあったらしい。

最高裁判所が半世紀近くにわたって取り組んできた、速記タイプライタの活用の努力は、こうしたさまざまな理由が重なり合って、予期したほどには成功を見ず、ついに20世紀が終わる直前になって裁判所は、これ以上新しく速記官の養成は行なわないことを決めた。

以上のように、中にはなかなか表には出にくい、もろもろの事情があって、長い間ずっと懸案になってきた、日本では裁判に時間がかかり過ぎるという一般問題は、完全な解決を見ないまま、再び先送りされてしまって、今日に至っている。

« ステンチュラの官支給問題(その2) | トップページ | 「はやとくんフォーラム2010」お疲れさまでした »

速記官制度」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本の速記タイプライタの歴史:

« ステンチュラの官支給問題(その2) | トップページ | 「はやとくんフォーラム2010」お疲れさまでした »

最近のトラックバック

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31